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國香酒造株式会社
銘柄酒/「國香」「傳一郎」
磐田原を背に袋井の穀倉地帯をのぞむ
創業より二百年近い歴史を誇る伝統蔵
「日の出の頃に吹く空っ風で、蒸米をしっかり冷やすのが一番いいんだけどね。年々、気温が高くなっていくから、うちみたいに冷蔵設備を持たない蔵は、みんな苦労しているんじゃないかな」國光酒造の松尾晃一社長が、蒸し上がった酒米を簀子の上に素早く広げながら、そう話してくれました。松尾社長自らが杜氏をつとめる國香酒造の酒造りは、洗米から蒸米の放冷など、全て人の手によって行われています。もう随分以前になりますが、当時まだ大学生だったご子息が登校前に蔵に入り、二人で声を掛けあいながら、テンポよく作業を進めていたのを思い出します。大学で勉強しながらの酒造り作業は大変ですねと声を掛けると、「高校生のころから手伝わされていますから、もう慣れました。作業は大変ですけど、将来の自分のための経験でもありますから。」と笑いながら教えてくれました。ご子息が蔵を継ぐと言ってくれたら、どこか県外の酒造会社で経験を積ませようとお考えですか?と松尾社長にお聞きすると「いや、経験を積ませるのなら、うちみたいな手の掛かる、ある意味本当に面倒な酒造りを最初から知った方がいい」「河村傳兵衛先生から教えられた酒造りをそのまま実践すると、とにかく手が掛かります。でも、それを当たり前だと思ってもらわないと、傳兵衛流の酒造りを継承してもらえません。そこがうちの酒造りにとって一番大切なことですから」
川村傳兵衛流の正統を継ぐ傳一郎
手を抜かない本当に手造りの酒
河村傳兵衛氏は、昭和50年代、静岡県を吟醸酒の銘醸地へと飛躍させた『静岡酵母』の生みの親です。その醸造指導は、妥協を許さぬ非常に厳しいものだったと今でも語り種です。この傳兵衛流の酒造りの正統を継ぐ一番弟子として、松尾社長は『傳一郎』の名乗りを、河村氏ご本人から許されています。「蒸米や麹造りだけでなく、酒を絞る袋の洗い方まで、とにかく事細かに決まりがあります。それを全てそのまま守っている蔵となると、うちの他にはもう僅かじゃないかな」と語ってくれました。河村先生の教えで一番大切な部分は何でしょうかとお聞きすると「作業の一部を切り取って、ここが大事ということではなく、全てにわたって基本を忠実に守り、手を抜かないということです。」「例えば、どんなに良いお酒を仕込んでも、最後の上槽で酒袋に匂いが付いていたら、全て台無しになってしまう。洗米から酒袋の洗濯まで手を抜かない、妥協しないということです」確かに、基本の大切さは分かっていても、自分の解釈で厳格さを緩めがちなものです。河村傳兵衛流の酒造りを忠実に守り伝える、松尾傳一郎が造る國香のお酒には、清澄という言葉がよく似合うように思います。國香のお酒の製造量は決して多くありませんので、酒販店でもなかなか目にすることがないかもしれません。濁りのない澄み渡った辛口の酒、妥協のない傳兵衛流の酒、機会があれば静岡型吟醸の正統をぜひ味わっていただきたい。
主要銘柄
品名:國香 大吟醸
米(精米歩合):山田錦(40%)
酵母:静岡酵母
日本酒度:+8
酸度:1.1
品名:國香「吟醸」雅のしずく
米(精米歩合):山田錦(50%)
酵母:静岡酵母
日本酒度:+9
酸度:1.3
品名:國香 特別純米
米(精米歩合):五百万石(55%)
酵母:静岡酵母
日本酒度:+7
酸度:1.3
品名:國香 特別本醸造
米(精米歩合):五百万石(55%)
酵母:静岡酵母
日本酒度:+9
酸度:1.2
会社概要
社 名:國香酒造株式会社
住 所:袋井市山田537
連絡先:TEL. 0538-48-6405 FAX. 0538-48-6428
代表者:松 尾 晃 一
杜 氏:松 尾 傳一郎(松 尾 晃 一・自社)
創 業:嘉永元年(1848年)
最寄駅:JR袋井駅から車で約20分。
見 学:無