▲真っ白な蔵に赤い「花の舞」の文字が際立つ。
住所/浜松市浜北区宮口632
銘柄酒/「花の舞」
≫所在地
庚申寺への参道は、白い石畳が続く。ちょうど山門が見えてくる辺りに、「花の舞酒造株式会社」が黒い格子戸の風情ある佇まいで建っていた。
ショップの建物の後ろ側に白くそびえる大きな工場の壁には、「花の舞」の文字が赤く浮き彫りになっている。ショップに隣接した、昔ながらの大きな二間続きの和室。鴨居のすかし柄が、格調高いこの部屋を際立たせている。
お話を伺ったのは、川上政敏常務取締役と長野武広報営業課長のおふたり。
ごくごく当たり前に食事を引き立てる酒を造りたい。
──こちらでは、100%静岡産米を使用しているとのことですが?
はい、そうです。10余年かかって農家の人たちを説得して作ってもらい、今では100%静岡産の山田錦を使っています。
酒造好適米は、食用の米に比べて背も高いし、米粒も大きいんです。だから農家のリスクももちろん高いわけですよ。だから、なかなか農家の人たちも首を縦に振ってくれなかったんですが。今は米ができすぎて、逆に追いかけられてますよ(笑)。食米をやめて、酒米に転向した農家もありますし。今は若い方を中心に酒米を作ろうという体制がしっかりできましたね。
▲大きな杉玉。新酒ができると緑色の杉玉に架け替えられる。
──水はどこのものを使ってるのですか?
南アルプスの伏流水です。軟水ですね。
──花の舞さんといえば、社内杜氏の土田さんが有名ですが・・・?
昔はうちも杜氏を呼んでいましたが、おっしゃられるとおり、醸造部の中の社内杜氏に変わりました。今は、若い人たちが中心になって酒造りをしています。20代の人が45%以上いますから、若い大きな力ですよ。
──伝統的な産業の中で若い人たちが活躍されるのは心強いですね。開発にも若い人の意見が活かされているのですか?
社長の方針で「〜ねばならない」というものがないんですね。だから自由な発想でやらせてもらっています。