いくら飲んでも翌日残らない酒、料理を引き立てる酒造り!
▲一際天井の高い部屋には、精米用の設備が並んでいる。
──できた酒は、主にどういったところで消費されているのですか?
当蔵では「白糸」や「富士山」といった地元にちなんだ名前をつけています。そのこともあってか、地元で8割以上は消費されていますね。残りは遠方よりのリピーターの方や観光地等で販売されています。
配送業者を使っていないので、自社便で回れる範囲内での取引が主になっています。週に一度くらいのペースで回ってますので、商品の品質管理も自分たちでできるんですよ。
──日本酒はデリケートな飲み物ですものね。
では杜氏は、どちらからいらしているのですか?
当蔵は、100年以上の歴史を持つ、能登杜氏を使っています。蔵人は寒い期間、24時間の酒の管理体制で臨んでいます。能登半島も先端の場所から当蔵に来ていますが、夏は農業漁業に携わる人もいますので、美味しい能登料理が楽しみです。
──日本酒を飲まれない方に聞くと大半が、明日に残るからとか、悪酔いするからとかよく言いますよね。専務のおっしゃる「翌日残らない酒」造りのために、どんな工夫をされているのですか?
日本酒がなぜ翌日に残るのかというのは、ぬかの中に含まれるアセトアルデヒドという物質が原因なんです。ですから、基本的にうちでは大吟醸、吟醸だけでなく、本醸造、醸造用の米も、とにかくひたすらよく洗ってます。そう、大量処理はせず、少量ずつ丹念に洗っていくんです。全てについてそこまでやる、それが工夫というか、こだわりですね。
──なるほど・・・原因はぬかにあったのですね。ところで、県内の酒の動きというのはどうなのでしょう?
ほぼ横ばいといったところですね。でも全国的にみれば、かなり健闘していると思いますよ。
▲蔵内をご案内いただいた。写真上は足場から見た蔵内の様子。写真下、タンクに掛かる白い布は、タンク内の温度調節をするためのもの。
──県外でも日本酒造りが活発になってきているようですが、それについてはいかがですか?
ライバルは多い方がいいです。活発に競い合って、消費者が美味しく飲める酒造りこそが、日本の伝統文化の継承だと思っています。
──社長の酒造りへのこだわりを教えてください。
そうですね、酵母かな・・・。蔵元としての目指す酒によって、静岡酵母と協会酵母と合わせて3種類の酵母を使い分けています。
でも、酒は酵母だけで決まるわけではありません。やはり水の性質も重要です。当蔵は使用する水が軟水なので、発酵がゆっくり穏やかで、まろやかな優しい味を出してくれるんですよ。でも、そんな話をすると、全部こだわりだらけになってしまいます(笑)。他の蔵もそうだと思いますが。