静岡の地酒「静岡県酒造組合」 富士山、天城山地、南アルプスの名水で醸す静岡の地酒を蔵元情報と共にご紹介。日本酒の良さ、日本酒文化を多くの方に伝えたい。
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静岡県の酒蔵会社と蔵元の紹介

しずおか酒造りの風景


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インターナショナル・サケ・チャレンジ
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第11回 静岡県地酒まつりin東京

第22回 静岡県地酒まつりin静岡

日本酒で乾杯推進会議
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富士正酒造合資会社(3)

蔵元の感性を込めた、こだわりの酒を造りつづける。

──なるほど。それが蔵ごとの個性というか、特色となっていくからこそ、嗜好品としての地の酒、地酒と呼ばれる価値があると。

 30年程前の話ですが、山形の観光課に静岡の酒を売り込みに行ったときのことです。ホテルでの夕食に出た酒が、料理にぜんぜん合っていなかった。それで、ちょっと頭にきちゃいまして、ホテルの方に「お酒が旨くない!」と、つい文句を言ってしまったのです。それから街に出て、居酒屋で普通の芋の煮っ転がしを肴にお酒を飲んだら、これがすごく旨かったのですね。お酒の銘柄を聞いたら、ホテルで出されたお酒と同じ銘柄でした。その時、ああ、地酒は地元で採れた野菜、魚。その素材を使ったこの地の料理の味。それに合うものこそ、地酒だということにあらためて気づかされました。だから、「酒が旨くない」と文句をいってしまったことが気になってしまって、早々にホテルに謝りました(笑)。
 それで、山形から帰ってきて、さっそく地の野菜で煮物を作ってもらって、うちの酒を飲んでみたら、あらためて「旨い!」と思いましたね。

──そうした経験もあって、土地ごとの蔵元の“こだわり”こそが、地酒には重要だというお考えに行き着くわけですね。そうした社長と一緒にお酒造りに取り組む杜氏さんは。



▲上:青々とした田んぼの中に建つ富士正酒造。下:昔懐かしい土間のお店。訪れた者を和ませてくれる空気がただよう。

 うちは南部杜氏です。ずっと古川杜氏が造りに入ってくれています。確かに杜氏の不足や高齢化という状況もあって、技術継承という問題も抱えていますが、元来は杜氏と蔵元は意見をぶつけあい、その意見の違いがまたいいものを造ることに繋がると思うのですね。最近では杜氏なしで、自分たちだけで酒造りをしている蔵も増えてきましたが、お互いに切磋琢磨するという意味では、杜氏との酒造りの方が良いと考えています。

──この地に根ざした酒蔵として、様々なことに取り組んでいらっしゃいますが、今後はどのような展開をお考えですか。

 富士宮市はフードバレー構想に熱心に取り組んでいます。フードバレー構想というのは、ここ富士山の豊かな恵みある土地で、「良いものをつくり、良いものを食べ、良さを伝える」というものなのですね。酒も自然の力でできた副産物ですから、地元産品を食べながら地元の地酒を楽しむ。そういった機会を増やしていきたいと考えています。また、最近は“富士宮やきそば”が全国的に知られるようになりました。ここ富士宮の優れた産品を、もっと全国の方に知っていただけるよう活動したいと思っています。

──本日はお忙しい中、ありがとうございました。

(取材日:2007年7月30日)